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T、在宅医療の展開と課題

情報発信元: 南砺市民病院
最終更新日:2010年7月28日(水曜日) 16時51分 コンテンツID:2-4-4-161

南砺市民病院が行っている在宅医療の全体像は病院ホームページの「在宅医療」(平成20年1月更新)に掲載してあります。

南砺市民病院退院時、障害高齢者で意思表示される患者様の大部分が自宅復帰を希望されます(資料1)。「長年家庭や地域で貢献されてきた高齢者を不幸にしない、支える家族も犠牲にしない」を目標に、南砺市民病院は昭和59年の公立井波総合病院時代より在宅医療を推進し(資料2)、南砺市合併前には井波地域の重度要介護者の在宅率が高い状況が見られました(資料3)。同時期の行った主たる介護者へのアンケート調査でも在宅支援サービスへの満足度は高いものが見られました(資料4)

1、南砺市で展開する在宅医療

1)南砺市民病院の取り組み:入院患者の高齢化が進み(資料5)、病気の治療だけでなく、廃用予防のリハビリや在宅復帰支援が大切な機能となっています(資料6)



  1. 入院時から社会復帰に向け包括的支援:病気だけでなく障害を評価し、社会復帰支援を入院時より開始し、多くの職種が関り取り組んでいます(資料7)


  2. 入院早期からの急性期リハビリテーション:急性期病床144床に理学療法士(PT)7名、作業療法士(OT)6名、言語聴覚士(ST)3名を配置し、早期から廃用予防や急性期リハビリだけでなく、嚥下摂食障害へSTが関わっています。嚥下性肺炎患者へ多職種で関る「嚥下性肺炎プロジェクト」は有効性が証明され(資料8)、また、嚥下摂食障害患者へ嚥下評価検査(VE・VF)を用い多職種で評価指導する「嚥下摂食パス」診療も病院内外から多く利用されています(資料9−1)(資料9−2)(資料9−3)


  3. 回復期リハビリテーション病棟:脳卒中後遺症や急性期医療後の廃用などで回復期リハビリを必要とする高齢者は増加し、36床の回復期リハビリ病棟にPT4名、OT4名、ST2名を配置しています。高齢者でも機能回復が見られ、最終的に90%以上の在宅復帰率を維持しています(資料10)


  4. 退院前多職種カンファランス:障害を有し在宅復帰や施設入所に準備が必要な場合は本人・家族と共に医師、看護師、リハビリ療法士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、ケアマネジャー、訪問看護師なども参加し退院前カンファランスを開催しています。安心し納得できる社会復帰に継げる機会であり、終末期の対応も検討する場になっています(資料11)


  5. リハビリテーション総合実施計画書を活用した在宅支援:入院中の情報であるリハビリ総合実施計画書をケアマネジャーに渡し在宅支援体制作りの参考にしてもらっています(資料12−1)(資料12−2)。この計画書で在宅での必要なサービス提供に繋がり、地域連携構築の一助となっています(資料13−1)(資料13−2)(資料13−3)(資料13−4)(資料13−5)(資料13−6)


  6. リハビリテーションの併設:富山県の公的病院で唯一デイ・ケアを運営し、約30名の利用者にPT2名、OT1名を配置しています。在宅酸素療法(HOT)や中心静脈栄養(IVH)利用者など医療必要度の高い利用者の通所看護的機能も発揮しています(資料14)


  7. 緊急時の入院受け入れ:在宅療養中の不安軽減のため、当院は急変や状態悪化時どのような状況でも受け入れを明言し実行してきました。当院で対応困難な場合は高次能病院に紹介しますが、認知症の周辺症状があっても急性期医療が必要な場合は入院し、病状が改善、安定すれば速やかに退院をお願いしています。この信頼関係こそ在宅医療展開の根幹であり、結果として在院日数の短縮(資料15)や施設入所の少なさに繋がっていると考えています(資料16)



2)南砺市の訪問診療、看取り:市立の2病院、4診療所から訪問診療や看取り(資料17)(資料18)がなされ、南砺市医師会とも連携し安心して在宅療養ができる地域づくりに努めています(資料19)。南砺市医師会の有志10名余りで連携を取り、看取り体制作りが進んでいます。南砺市民病院は平成22年度、家庭医・総合医育成を目的に「総合診療科」を創設し、訪問診療体制を整備しました。

3)南砺市の訪問看護・リハビリテーション:平成12年度、外部依頼に対応するため看護師、理学療法士を院外組織の井波訪問看護ステーション(当時の公立井波総合病院内)に派遣しました。平成19年に2ヶ所の訪問看護ステーションが合併し南砺市訪問看護ステーション(南砺市民病院内)となり、平成20年度延べ2万件以上の実績があります(資料20)(資料21)。平成22年度、訪問看護師14名(常勤13名、非常勤1名)、訪問リハビリ10名(PT4名、OT4名、ST2名)に増加し、研修体制なども充実し人材確保も可能な状況がみられています(資料22)(資料23)

2、南砺市における在宅医療の課題

合併5年を経過し、在宅医療に関し医療必要度の高い利用者へ支援体制が不十分なことや地域間格差が見られることが課題として挙げられます。

1)介護家族の支援と休息体制整備:人工呼吸器、IVHなど医療必要度の高い在宅療養者のショートステイは介護者の休息(レスパイトケア)のため必要ですが(資料24)、受け入れ施設は極めて少ない現状です。平成20年度、民間療養病院長の好意で2床確保しましたが、手間隙や診療報酬の低さなどから今年度中止されました。公立南砺中央病院のショートステイの利用の検討が必要です。

2)訪問診療と緊急時の入院受け入れ:広い南砺市で医師の少ないなか病院医師と開業医、診療所医師が担っています(資料25)。医療必要度の高い場合や癌末期など退院後早期の死亡が予見される場合は病院から訪問診療を行い、長期療養の場合は医師会や診療所の医師に依頼しています(資料26)。当院は緊急入院を常に受け入れていますが、公立南砺中央病院は医師・看護師不足から救急体勢の時間制限を設けることなり、今後の2次救急や入院医療のあり方が問われています。

3)南砺市内での地域間格差:訪問看護利用率は井波地域が高く、福光・城端地域が低い状況です(資料27)。このことは低い地区の訪問診療・看護の充実と共に医療・福祉関係者や住民の意識変革の必要性を示し、地域間格差是正の努力が望まれます。

4)五箇山地域の訪問看護体制整備:平野部は24時間対応の訪問看護体制は構築できていますが、五箇山村は利用者も少なく複数の訪問看護師を配置できず、又南砺市訪問看護ステーションからの距離が遠く、看取り対象者への十分な支援が困難であり、今後の課題です(資料28)

5)歯科的口腔ケア整備:平成19年度よりSTを南砺市訪問看護ステーションに配属し、摂食嚥下障害等へ対応を開始しました(資料23)。嚥下性肺炎予防や摂食支援に効果的ですが、歯肉疾患や入れ歯の不具合などは対応困難であり、今後南砺市歯科医師会と連携し、歯科衛生士などの確保と育成を図る必要があります。


関連ファイル

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