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初期臨床研修医の目標

最終更新日:2010年12月8日(水曜日) 11時55分

global standardなprimary careを実践できる医師を養成するための基礎をつくる

医師研修プログラム委員会委員長  荒幡 昌久


南砺市民病院の初期研修医指導体制

1.医師として望ましい姿勢(態度、コミュニケーション、考え方、倫理観など)を身に付ける。

2.診断のプロセス(diagnositic stratery)、臨床決断(decision making)の原則を理解し、各症例に対して実践できる。

3.地域医療を含めた医療体制を理解し、それを実践できる。



-もう少し具体的に-

1、common disease、common symptomに対応できる。対応とは診断と初期治療を含む頻度の高い疾患についてはglobal standardの医療を見につける

2.Emergencyに対応尾できる。頻度の多い疾患、見逃してはいけない重篤な疾患の診断・初期治療ができる

3.問診と身体所見から診断を絞り込む、あるいは診断に至るために必要な検査を選択し、その結果を解釈できる。



内科における初期臨床研修の基本

1.数人の患者様の担当医となり、後期研修医、荒幡先生の指導の下に診療にあたる。

2.診療から離れてtutorialやcase canference(case based study)を行う時間を設ける。(この時間は病棟業務で呼ばれない)

火曜日 PM5-6時 (tutorial)
水曜日 AM8-8:30 (primary care)
木曜日 PM5-6時 (case canference)


≪tutorial≫
問診・身体所見のとりかたのポイント
 発熱      血液疾患
 神経      代謝疾患
 呼吸器     小児科疾患
 循環器     眼科疾患
 腹部疾患    整形外科疾患(腰痛・肩痛・膝痛)
 婦人科疾患   外傷疾患



【common diseaseおよび緊急の処置が必要な疾患の診かた】
 かぜ、上気道炎、インフルエンザ
 肺炎
 脳血管障害
 血球異常(貧血など)
 糖尿病
 心不全、狭心症、急性冠症候群
 大動脈疾患(瘤、解離)
 消化性潰瘍、胃腸炎
 肝障害(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝腫瘍)
 胆石、胆嚢炎、急性膵炎
 腸閉塞、腸間膜動静脈閉塞
 急性腎不全、CKD
 虫垂炎
 眼科疾患
 子宮外妊娠、その他の婦人科救急疾患
 急性薬物中毒、一酸化炭素中毒
 アレルギー疾患(アナフィラキシー他)
 膠原病


【症候診断学】
 疼痛      動悸
 頭痛      咽頭痛
 胸痛      咳、痰
 腹痛      呼吸困難
 腰背部痛    嘔気、嘔吐
 関節痛     下痢
 めまい     便秘
 失神      吐血、下血
 痙攀
 ショック
 意識障害
 麻痺
 しびれ
 歩行困難


感染症の診療、抗生剤の使い方

心電図の読み方

診断力アップのためのcase study (text book , HEJM)


【画像診断のポイントとケーススタディ】
 頭部単純写真、頭部CT、頭部MRI
 胸部単純写真、胸部CT
 腹部単純写真、腹部CT、腹部MRI
 骨関節単純写真


【外傷患者の診かた】
 総論      創傷処置
 頭部外傷    腹部外傷
 頸部外傷    骨盤外傷
 胸部外傷    四肢外傷


≪手技≫
 心肺蘇生法(気管内挿管)
 人工呼吸器の使い方
 静脈確保(末梢、中心-内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈)
 動脈穿刺
 胸腔穿刺法、腹腔穿刺法
 内視鏡
 心エコー
 腹部エコー
 外科的手洗い
 手術衣。手袋の着用法
 皮膚縫合法
 外傷の処置
 骨折の処置
 脱臼の徒手整復


【DVDで学ぶプライムケア】
 救急処置(2)     感染症(5)
 救急診療(2)     呼吸器(2)
 診察法(2)      糖尿病(2)
 診断・初期診療(9)  アレルギー疾患(3)
 輸液法(2)      骨・関節・膠原病(4)
 心電図(2)      整形外科(2)
 心音(2)       小児科(2)
 感染症(5)      超音波検査(5)
 神経内科(3)

計50本以上




南砺市民病院の初期研修医受け入れの姿勢

初期研修医の研修時間は、global standardなprimary careを実践できる医師を養成するための基礎をつくる期間である。

日常診療の中で、教えられることがあれば、研修医の立場に立って教えてあげる。すべての医師、スタッフがある意味では指導医である。
知らないことは一緒に勉強する。あるいは、調べる手段を提示して調べてもらう。
日常診療の中で、患者様から学ぶ姿勢を共有し、一緒に学んでいく。

初期研修医を受け入れることは、南砺市民病院にとって決して重荷ではなく、これを機会に、救急体制、救急対応、診療全体の標準化・レベルアップを進める。