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3、南砺市民病院での在宅医療の現状は

最終更新日:2010年8月9日(月曜日) 12時15分

組織の発揮すべき機能は住民、患者・家族の生活の支援であり、病院内外の組織や専門職とのネットワーク作りと人材育成を目指しています。

1、南砺市民病院の在宅医療の歴史

昭和59年より脊髄小脳変性症の対象者へ在宅医療を行うため、訪問診療、訪問看護を開始し、その後、訪問リハビリ、在宅酸素療法など数々の在宅医療の取り組みが行なわれてきました(資料16)。平成16年4月には回復期リハビリ病棟、リハビリセンター、デイケアセンター、在宅介護支援センターや訪問看護ステーションなどの在宅医療基盤に関する増改築が完成しました(資料17)。

 

2、平成15年9月南砺市合併前の状況

南砺市民病院(当時は公立井波総合病院)が行った在宅医療により、井波地域の要介護者の在宅率が他地域より高い結果でした(資料18)。その因子として、訪問看護(訪問リハビリを含む)が推測されました(資料19)。在宅医療を受ける対象者の主たる介護人への在宅サービス満足度調査では、要介護度が高くても満足度が高い結果が得られました(資料9)。

 

3、南砺市介護福祉支援センター(行政)との連携

  平成6年より在宅介護支援センターを平成11年より訪問看護ステーションを病院内に設置してきました。平成12年度の介護保険開始後、訪問看護ステーションを院外の依頼も受託できる病院外組織とし、看護師と理学療法士を配置しました(資料20)。

  平成16年1月、病院増改築の1階に地域福祉課(当時は井波町)、井波町在宅介護支援センターや井波訪問看護ステーション(訪問看護、訪問リハビリ)と井波ホームヘルプステーションが移転しました。平成16年11月、南砺地域4町4村が合併し南砺市(資料21)が誕生し、南砺市介護福祉支援センターと改変しました。現在、井波在宅介護支援センターや南砺市訪問看護ステーションと井波ホームヘルプステーションが配置されています(資料22)。

  ケアマネジャーや特に訪問看護師、訪問リハビリ療法士は病院職員の派遣が多く、病院との連携は密接で、在宅医療の機能を発揮しています。今後も看護師やリハビリ療法士の支援と人事交流を行ってゆく予定です(資料23)。

 

4、砺波地域リハビリテーション支援センター南砺市民病院の活動

  地域リハビリ活動(ノーマライゼーション)を全国に普及させる目的で、2次医療圏に地域リハビリ広域支援センターの設置が進められました。当院(当時は公立井波総合病院)は平成14年1月に富山県から砺波医療圏の支援センターとして指定を受け、砺波厚生センターの指導のもと活動を継続し、地域リハビリ普及や在宅医療の推進発展に努めています(資料24、25)。

  組織(資料26)の発揮すべき機能は住民、患者・家族の生活の支援であり、病院内外の組織や専門職とのネットワーク作りと人材育成を目指しています(資料27)。

 運営方針は年2回開催される運営会議(資料28、支援センター綱領)で決定されます(資料29)。提案課題(第12回議事録)は月1回地域リハビリ推進委員会で現状の確認と分析、解決を行っています(資料30、31、32、推進委員会綱領)。人材育成やネットワーク作りのため、地域リハビリ研修会(資料33)や地域リハビリ勉強会(資料34)を行っています。地域住民への啓発活動として、地域リハビリフォーラム(資料35)や認知症サポーター作り(資料36)なども行っています。

 

5、現在の在宅医療の課題と展望

  第1の課題は在宅医療を支える専門職の確保と育成です。特に地域包括医療や在宅医療を理解し、志を持って参入する医師はまだ少なく難渋しています。在宅医療は住民とふれあい、信頼と絆を結べる大切な場であり、今後も在宅医療を推進するため総合医や家庭医の確保と育成に努めます。

第2の課題は在宅医療を支えるシステム、ネットワーク作りです。当院の地域リハビリ広域支援センター活動で施設や在宅支援専門職などのネットワークは順調に構築されています。しかし、医療必要度の高い対象者の場合、介護者の休息のためのショートステイなどの整備が今後の課題です(資料37、38)。通所看護機能を付加したデイケア整備も解決方法と考えられます(資料39)。治療食宅配サービスなど民間で提供できる環境が整えば民間に移行すべきです。病診・病病連携にも課題があり、平成19年度より4疾病5事業の連携作りが具体的に展開されました。今後、より良い医療連携構築に向け多くの医療関係者の理解と協力が必要です(資料40、41)。

第3の課題は家族や地域住民の支援体制作りです。第1と第2の課題で「確かな在宅医療」を確立し、同時に「温かい在宅医療」提供のための家族や地域住民の支援体制作りが大切です。在宅医療支援成功事例の積み重ねと、市民フォーラムや各種講演会などあらゆる機会を通し、障害者、高齢者が自宅や地域で共に生活することの意味合いや重要性を啓発して行く必要があります。これらの地道な活動が近い将来、温かい地域を作り上げていくと確信します。


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