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10、在宅医療へ、地域の医療機関のあり方は

最終更新日:2010年8月9日(月曜日) 12時17分

在宅医療はかかりつけ医(開業医、診療所)が主体的に支え、その後方支援を公立病院などで行なう体制を基本としますが、高齢化・過疎化やかかりつけ医と公立病院などの状況など地域特性によって発揮すべき機能と連携のあり方に工夫が必要と考えます(資料101)。

1、医師会、歯科医師会の理解と協力
在宅医療のより良い発展には地区の医師会や歯科医師会の理解と協力が是非とも必要です。地域住民にとって町の先生は頼りになる存在であり、在宅医療の最前線に立っておられる方々です。南砺市医師会は全国でも稀なNPO法人として設立され、市民フォーラムなど積極的に在宅医療に取り組んでいます(資料102)。人口や高齢化率に比較しかかりつけ医は少なく、病院として終末期医療や看取りでの連携を通し、訪問診療しやすい環境整備に努めています(資料103、104)。

南砺市歯科医師会はこれまでも在宅医療に協力頂いていましたが、平成19年12月の地域リハビリテーション研修会での講演を機会により密接な協力関係を構築するよう努めています(資料105、歯科医師会報告書)。 

 
2、在宅医療のための療養型病院との連携作り
医療必要度の高い対象者へのデイサービスやデイケア、特にショートステイは大切で、療養型病院は受け入れに努力されていますがまだ不十分です。政策面での見直しとともに、当面は病院の理解と協力及び職員の対応能力向上が必要です。療養病院退院時のケアマネジメントやその後の在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなど)支援は可能ですが、まだ十分機能しておらず今後の課題です。

 
3、大学病院や高次機能病院との連携構築
在宅医療の対象者で病状悪化や急変時に当院以外のより高次機能病院に依頼することはまれです。しかし、冠動脈ステント挿入や脳外科手術など必要な場合には連携しています。かかりつけ医・診療所、療養型病院、当院のような2次救急の急性期病院やより高次機能病院などとの良好な地域連携があって始めて、安心で安全な在宅医療を提供できる環境が整います(資料106)。

 
4、基幹となる地域公立病院の存続のために
中山間地の急性期公立病院は在宅医療の後方支援の役割は発揮していますが、医師確保困難、財政基盤悪化などの困難な状況に直面しています。その上、在院日数短縮のため急速に高齢化する入院患者の早期退院に努め、かつ病床利用率減少をいかに改善するかなどの大きな課題を抱えています(資料107、108、109)。今後療養病床等の利用が困難であり、入院が長期化する高齢障害患者の入院回避が懸念されます。そのためにも、地域の公的病院は医師、看護師、リハビリ療法士の人材やノウハウを投入し退院後の安心安全な受け皿(在宅医療など地域ケア体制)整備をしない限り急性期病院として評価されず、統廃合に巻き込まれる可能性があります(資料110)。南砺市は平成16年11月4町4村が合併し、現在市立2病院4診療所があります。南砺市では継続的に良質な医療を提供するため、統廃合も含め適切なあり方を検討し実行することが必要であり、国からも強く要請されています(資料111)。

 
5、医学生や研修医へ在宅医療など地域包括医療の教育・研修体制構築
現在の疾患中心の専門医志向だけでは高齢化社会に対応できません。医学生教育や医師研修の場の大学病院では優秀な専門医がいても総合診療や家庭医の優れたモデルを見つけることは困難です。専門医の育成は今後も必要ですが、これから圧倒的に多くなる後期高齢者診療には、疾患・障害・生活をしっかり評価し治療対応でき、チームと共に支援できる専門性の高い総合医や家庭医が多数必要です(資料112)。

南砺市民病院は南砺市のフィールドで地域包括医療を行い、特に在宅医療では富山県はもとより全国でも先進的な取り組みであると自負しています。この先進的地域で研修体制を整え、優秀で専門性の高い総合医や家庭医を育成していきます。医学生や研修医の皆さんは研修内容や医療の実際を確認しに来てください、歓迎します(資料113、114)。

 
南砺市民病院 総合診療医研修プログラムの特徴

1、疾患への幅広い研修と共に、患者の身体的、精神的、社会的障害をチーム医療での係りや地域リハビリを通し支援する全人的医療が学べます。

2、在宅医療・終末期医療を通し患者・家族のQOLが支援できます。

3、認知症診療ネットワークを通し認知症の人と家族の笑顔を支援できます。

4、身分保証のついた3ヶ月間の院外研修や3年間の研修後当院に勤務される医師へは1年間の院外研修が可能です。

5、南 眞司、荒幡昌久等と共に先進的な地域包括医療が学べます。

研修終了後も希望されれば、私達とともに新たな地域包括医療モデル作りのため勤務を継続できます。(資料115、116、117、118)

 
6、医療保険や介護保険の安定化への貢献
南砺市を含めた砺波広域圏は富山県内でも老人医療費や国民健康保険・介護保険の保険料が低く、在宅医療の推進は患者・家族や医療介護福祉専門職の満足度を高めるだけでなく、医療保険・介護保険の安定的運用にも寄与しています(資料119、120、121、122、123)。


 


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