Ⅵ、輝くような若手医師の存在
最終更新日:2010年7月23日(金曜日) 19時42分
金沢大学・富山大学医学部卒業生で地域医療を目指す学生は5名以下と言われています。荒幡医師は金沢大学を平成15年3月卒業し地域医療を目指した希少な人材です。学生時代、当院を見学に訪れ、卒業後金沢大学第3内科に入局し、金沢大学、黒部市民病院、富山県立中央病院を各々1年間研修後、平成18年度より当院に赴任し、血液内科を専門としつつ総合内科医として研鑽に努めています。中山間地の高齢社会で嚥下性肺炎や訪問診療・終末期医療などの課題に正面から対峙し、看護師・コメディカルなどの育成とチーム作りに取り組んでいます。このような若手医師の存在は、医療継続に苦慮するへき地医療に希望を灯すものです。
1、嚥下性肺炎への取り組み:嚥下性肺炎患者へ多職種で関る「嚥下性肺炎プロジェクト」で嚥下性肺炎再発予防効果の有効性が証明されています(資料8)。平成21年度の北陸老年病学会に発表し、同学会誌へ投稿しています。高齢化で問題となる「嚥下性肺炎」を若くして各専門医療職とプロジェクトを形成し、日本や世界の論文を幅広く検索し適切で科学的な治療、処置に結びつけています。
2、訪問診療・在宅終末期医療の検証:在宅医療推進を患者は希望し社会からは要請されていますが、訪問診療・終末期医療の予後や妥当性はまだ十分検証されていません。平成16年度から当院の全ての訪問診療患者を抽出し、目的、重症度、生命予後などを検討し、療養目的(経口摂取、胃瘻からの経管栄養)と看取り目的(経口少量、点滴など)では予後に明確な差が見られました。認知症や脳卒中後遺症患者で経口摂取困難な状況での胃瘻造設の有無は生命予後に大きく影響を及ぼしていました(資料63-1)(資料63-2)(資料63-3)(資料63-4)。これらは日本プライマリ・ケア連合学会に報告しますが、この事実を患者・家族に示し、納得の行く治療選択ができる環境整備に努めています。
3、後に続く若手医師の存在:富山大学総合診療部や自治医大卒の若手医師や総合医を目指す初期研修医が後に続いています。彼らの夢や志を大切にし、総合医や家庭医が医師仲間で評価され、社会からステータスとして認知される努力と応援が必要です。