最終更新日:2019年2月1日(金曜日) 11時20分
市民病院からの症例提示は、山谷怜司医師のレジオネラ症の一例で横紋筋融解を伴う重症例の発表及び中村一樹医師の髄膜炎の一例の発表がありました。
〇特別講演:脳梗塞治療の最前線 富山県の脳梗塞診療の現状と課題
富山大学付属病院 脳神経外科 講師 秋岡直樹先生
富山県は脳梗塞死亡第4位です。2014年より県内約20の公立病院が参加し行なわれた、TOY STORE研究(調査)からみえた今後の脳卒中診療における課題についてまず概説頂きました。
内科的治療の要であるTPAの使用が全国に比べると十分でないこと、最近複数のRCTで明らかとなった、(TPA単独治療を遙かに凌駕する)カテーテルによる血栓回収療法が脳卒中治療成績向上に向け重要であることを、自験例を交え解説頂きました。またTPA使用の適応が発症より3時間から4.5時間となって久しいですが、中枢の血管の閉塞によるペナンブラ領域をレスキューすると言う意味では、時間のたったものでも血栓回収療法の適応がある(6-8時間、場合によっては10数時間)とのことでした。
血栓回収療法は全国で1万例ほどの施行実績ですが、富山ではここ数年分あわせても50例ほどだそうです。施行実績を増加し、地域住民の健康に寄与するため、「Time is Brain(Time is moneyをもじったもの)」を合い言葉に、県内の血栓回収療法治療施設(2018.4月稼動の富山大学包括的脳卒中センター、富山県立中央病院、済生会富山病院、富山赤十字病院)と地域病院と連携を密にしていくべきと強く感じた講演会でした。