II、認知症への取り組み
最終更新日:2010年7月23日(金曜日) 19時42分
人生の終盤に認知症を発症した人と家族が安心して過せる街づくりを目指すべきです。認知症は変化に適応できず、思い出のある空間でなじみの人達との生活が最も安心できる環境なのです(資料29)。人間は老いて人の世話になり、世を仕舞うのが当たり前であり、人の世話になることが最後の社会貢献と認める社会作りが今求められている課題であり現役世代の努めと考えます。
1、施設介護に偏った反省から:高度成長期にあわせ、障害高齢者を自宅や地域での見守りから施設に収容する方向に移行し、特に富山県は全国的にも施設整備率が高く(資料30)(資料31)、在宅医療の訪問診療や看護は最低のレベルです(資料32)(資料33-1)(資料33-2)。南砺市民病院は合併前から認知症の在宅支援のため訪問看護を積極的に展開し、病院周辺の在宅率は高く(資料3)、訪問看護ステーションとの連携により訪問看護サービスは充実しています(資料20)。
2、住民の意識啓発活動:介護家族へ安易に施設入所を勧めたり、仕事を辞めて家庭介護を強要する言動は慎むべきです。自宅か施設かは本人と家族が決定することで、専門職や地域住民は「認知症とその家族が安心できる環境」の整備に努めるべきです(資料34)。当院では、退院前の多職種カンファランスで在宅支援の可能性を提案するとともに、継続的に市民フォーラム(資料35)や各種研修会(資料36)(資料37)(資料38)などで地域住民への啓発活動を進めています。
3、地域のボランティア活動の育成:社会福祉協議会によるケアネットワーク作りは地域のボランティア活動や意識啓発のため応援をしています。家族がケアマネジャーや民生委員等とともに近所の方々に理解と協力を求める活動も勧めています。平成21年10月に行われた「南砺市地域医療再生マイスター養成講座」から、平成22年度南砺市地域包括支援センターが中心に「認知症の人と家族が安心して暮らせる地域作りを目指す会」を設立し、広範な活動を予定されており南砺市民病院も協力を行ってゆきます。
4、もの忘れ外来の開設:平成17年度より受診しやすく、在宅支援に結びつく「もの忘れ外来」を開設しました。年間100名前後が受診され、医師、臨床心理士とOTが病気、認知・精神障害や生活障害を評価し適切なアドバイスを行い、ケアマネジャーや主治医へも報告しています(資料39)。
5、「認知症でもだいじょうぶ」町づくり:認知症支援のネットワーク作りは予防から治療、終末期対応まで長い期間で多くの専門職、家族、住民が関わりますが、南砺市では平成19年度までのタイムスケジュール(資料40)を立案し取り組みました(ホームページに掲載)。地域活動として「家族会」への支援(資料41)やコントDE健康での住民への啓発活動(資料42)や市民フォーラム(資料43)を行い、2005年「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン(資料44)に参加しました。その後も認知症キャラバンメイトへの参加や地元中学生への認知症サポーター作り(資料45)を行っています。