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予防接種について

最終更新日:2020年12月17日(木曜日) 09時22分

予防接種について


新しい予防接種が増えてたいへん複雑になってきました。スケジュールの調整に迷うことがあるかもしれません。予防接種のスケジュール作成で不明な点があればぜひ医師に聞いて下さい。スケジュールの作成および予防接種の意義・副反応の説明には相応の時間を費やすことにしています。

 発症頻度はまれであっても、死亡したり重大な後遺症を残すことがある重大な病気を予防するのが予防接種です。予防接種をしていれば重大な病気にならずに済んだのに、予防接種を受けていなかったために死亡したり重大な後遺症を残したりすれば強い後悔を残すことになります。もちろん身体にとって異物を注射するわけですから、きわめてまれに予防接種による重大な副反応が起こることもあります。しかし予防接種を受けないことによる不利益よりもはるかに予防接種を受けることによる利益の方が上回り、しかも重大な副反応の頻度はきわめて低いものです。不必要な予防接種は一つもありません。

  よく予防接種で死亡したという報道が流れますが、その多くは予防接種をした後にたまたま死亡した例を含み、予防接種を受けていなくても死亡した例が多く、予防接種と死亡との間に因果関係があるかどうかは専門家の判断を考慮する必要があります。予防接種を受けてから長い月日が経過したあとに死亡した例まで含めて予防接種後に死亡したと新聞に載ってしまうと不安が増大して困ります。当科でも似たような経験があります。予防接種を受けに来られた元気な赤ちゃんに今にも接種しようとした直前に無熱性の痙攣発作を起こしました。さいわいその後の経過は順調で検査でも異常はありませんでした。この赤ちゃんに予防接種を実施するのがもう1~2分遅かったとしたら、予防接種後に痙攣を起こしたことになるわけですから間違いなく、予防接種の副反応と認定されたことでしょう。

  予防接種の病気が現在流行っていないから予防接種を受ける必要がないと考える方がいます。たとえばポリオです。でも多くの方がワクチンを受けているからこそ流行っていないだけで、接種しない方が増えると(世界にはまだ流行地域がありますので)必ず流行ります。飛行機ですぐに感染者が入国する時代です。そのときにワクチンを受けていないと病気に対して無防備となりたいへん危険です。

  当科の方針は接種可能な予防接種をできるだけ多く、なるべく早期に完了して子どもを重大な感染症の危険から守ることにあります。したがって同時接種は何本でも行いますし、任意接種も可能な限り推奨しています。ヒブや肺炎球菌の予防接種が導入されてからは、富山県でも全国的にもヒブや肺炎球菌による細菌性髄膜炎の発生は激減しました。予防接種をすれば罹らない病気に罹って命を落とすのは残念なことです。できるだけ多くの予防接種を早期に完了させることをお勧めします。




定期接種

1. ロタ(当院は2回接種のロタリックスです):生後6週から接種可能で、4間の間隔で2回接種します。生後24週までに2回の接種完了しなければなりません。  

2. ヒブ:生後2か月から接種可能で、3~8週間隔で3回接種し、3回接種の7~13ヶ月後に追加を1回接種します。

3. 肺炎球菌:生後2か月から接種可能で、4週以上の間隔で3回接種し、3回目接種から60日以上をあけて生後12~15か月時に追加1回接種します。

4. 四種混合:生後3か月から接種可能で、3~8週間隔で3回接種し、3回目接種の1年後に追加を1回接種します。小学6年生でジフテリア破傷風混合(DT)トキソイドを1回追加接種します。

5. BCG:生後5か月から8か月までに1回接種します。

6.麻疹風疹混合(MR)ワクチン:1才になったらすぐにⅠ期を1回接種し小学校入学前の1年間にⅡ期を1回接種します。

7. 日本脳炎:3才になったら4週間間隔で2回、1年後に追加を1回、9才になったら、Ⅱ期を1回接種します。

8. B型肝炎:生後2ヶ月になってから、4週間隔で2回接種し、1回目接種の20週後に3回目を接種します。

9. 水痘:生後12ヶ月から15ヶ月までに1回接種し、その6ヶ月後に2目を接種します。

10. ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン:中学1年の女子で、1または2ヶ月の間隔をあけて2回接種し、1回目接種の6ヶ月後に3回目を接種します。


任意接種


1. おたふく風邪:1才になったら接種可能で、1才以後に1回目、小学校学前に2回目の接種が推奨されています。

2. インフルエンザ:生後6か月以後で接種可能で2~4週間間隔で2回接種します。


 令和2年10月から予防接種に関する法律が変更となり、異なるワクチンを接種する場合の接種間隔の規定がすっかり変わりました。すなわちロタを除く生ワクチン(BCG、麻疹風疹、水痘、おたふく風邪)を接種後、他のロタを除く生ワクチン(BCG、麻疹風疹、水痘、おたふく風邪)を接種する場合にはこれまでどおり4週間の間隔をあけなければいけませんが、それ以外の組み合わせでは間隔をあけなくていいことになりました。ロタは生ワクチンですが、経口ワクチンであるためにこの規定からは外れます。ただし、同じワクチンを受ける場合の接種間隔の規定はこれまでどおりです。

 

お勧めの予防接種スケジュール

(1) 生後2か月:ヒブ①+肺炎球菌①+ロタ①+B型肝炎①

(2) 生後3か月:ヒブ②+肺炎球菌②+四種混合①+ロタ②+B型肝炎②

(3) 生後4か月:ヒブ③+肺炎球菌③+四種混合②

(4) 生後5か月:四種混合③+BCG      

(5) 生後8か月:B型肝炎③

(6) 1才:肺炎球菌追加+ヒブ追加+麻疹風疹①+水痘①+おたふく風邪①

(7) 16か月:四種混合追加+水痘②

(8) 3才:日本脳炎Ⅰ期①②

(9) 4才:日本脳炎Ⅰ期追加

(10) 6才:麻疹風疹②+おたふく風邪②

(11) 9才:日本脳炎Ⅱ期

(12) 11才:二種混合(DT;破傷風ジフテリア)

(13) 13才女子:ヒトパピローマウイルス(HPV)①②③

そのほかインフルエンザワクチンを毎年2回ずつ受けましょう。

具体的な予防接種のスケジュールや個々の予防接種の特徴および副反応についてはぜひ医師に聞いて下さい。

 

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 南砺市では予防接種に対して不安や心配をお持ちのご家族を対象に南砺市予防接種相談会を開催していいます。(→南砺市予防接種相談会について