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血液内科の紹介

最終更新日:2016年7月8日(金曜日) 09時55分

血液内科について

血液内科でよくみられる疾患と診療の実績をご紹介します。

1.診療内容

○血算異常(けっさんいじょう)

 白血球、赤血球、血小板などの血液の細胞の数を測定したものを血算といいます。血液内科は、おもに外来では検診などで血算異常があると言われた方の原因診断を行っています。また、入院中に原因不明の血算異常がみられた場合にも各主治医からの相談を受け、診療にあたっています。

 外来診療では赤血球減少(貧血)の患者さんが多くを占めます。貧血の大部分が出血や鉄分の不足によるものです。しかし、稀に自己免疫性溶血性貧血や再生不良性貧血といった特別な治療が必要となる病気の場合もあります。一方で、入院中に血液内科に相談される内訳で最も多いのは血小板減少です。2009年8月から2010年7月の間に当院で血小板減少症(血小板数≦10万/μL)と診断された患者さんの原因を調査したところ、最も多いのは「肝硬変」でした(図1)。

○血栓症と出血傾向(けっせんしょう と しゅっけつけいこう)

 脳梗塞や心筋梗塞は、それぞれ神経内科や循環器内科が専門とする臓器の病気です。これらは血管の中で血液が固まって発生する「血栓症」とも言います。血液内科では、血栓ができないように血液の状態をコントロールする薬物療法も行っています。また、手術が必要になった場合に血液を固まりにくくする薬(抗血栓薬)をどのように扱えばよいか執刀医と相談したり、抗血栓薬を内服中に出血した場合の対処方法の相談に応じたりしています。

○造血器腫瘍(ぞうけつきしゅよう)

 急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫などの血液由来の腫瘍の診断と治療を行っています。これらの病気の診断は当院ですべて行うことができ、抗がん剤のみを使う治療(化学療法)であれば当院でもじゅうぶん可能です。

 造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)や放射線治療などの特別な設備が必要な場合、それらの治療を行うことができるがん診療連携拠点病院へ積極的に紹介します。しかし実際には、当院で診断される造血器腫瘍の患者さんの平均年齢は70歳を超えており、骨髄移植をはじめとする強力な治療が行えない場合が多いです。化学療法のみ(抗がん剤治療のみ)が適応となる場合は、当院で十分な治療が行えます。また、65歳を超えるご高齢の方の化学療法は、造血器腫瘍以外の身体的な問題に配慮が必要になるため、個別に綿密な治療計画を立てて慎重に治療を行っています。

 

2.実績

○骨髄検査(図2)

 血算異常の原因が明確ではない場合や、造血器腫瘍が疑われる場合に行います。血液内科疾患の治療効果の判断の際に行うこともあります。主に、腸骨(お尻の骨)に向かって専用の針を刺し、骨髄液を1.5~2.0cc吸引します。怖い検査と思われがちですが、おおむね5~10分で終わる簡単な検査です。

○造血器腫瘍(過去6年間;2008年~2015年)

 急性骨髄性白血病           診断9例(化学療法5例、他院へ紹介2例、未治療2例)

 骨髄異形成症候群           診断6例(化学療法3例、他院へ紹介1例、未治療2例)

 悪性リンパ腫                  診断37例(化学療法26例、他院へ紹介5例、未治療6例)

 多発性骨髄腫                 診断10例(化学療法4例、他院へ紹介2例、未治療4例)

 *未治療にステロイド単独投与や緩和治療を含む 

3.今後の目標

 血液疾患の患者さまに対しては、これからも迅速な診断と適切な治療に心がけ、いのちを守る治療だけではなく、病気になる前と同じ生活に戻れるようにからだの機能や精神面のケアにも心がけて参ります。また、看護師、介護士、機能訓練士、薬剤師、栄養士、社会福祉士などの多職種で密接に連携しながら、患者さまの個々の病状に合わせたオーダーメイドなチーム医療を行い、専門科病棟に入院するよりも強い利点を活かしていきたいと考えています。



図1.血小板減少の原因調査

図2.骨髄穿刺検査実績