代表的疾患の解説
最終更新日:2016年7月8日(金曜日) 09時30分
■脳卒中
死亡や生活を不自由にする代表的な病気です。急に手足の麻痺や意識障害、話しにくい等の症状が出たら3時間以内に病院に来てください。早期治療が障害の軽減に重要です。又、脳卒中の原因として高血圧、喫煙、多量飲酒、糖尿病、高脂血症、肥満等が指摘されており普段の健康管理が非常に大切です。
■認知症
以前は痴呆と言われた病気です。記憶や判断、実行障害が徐々に進み寝たきりに至ることがあります。途中、徘徊や被害妄想等の症状もあり介護者を困惑させます。原因の多くはアルツハイマー型痴呆と脳卒中ですが、早期診断と治療は有用です。当院では月曜日午前に「もの忘れ外来」を行なっていますのでご相談ください。
■COPD(シーオーピーディー)・肺気腫
肺が壊れてスカスカになっていく病気です。原因は不明ですが、喫煙により悪化します。咳・痰が出たり、動くと息切れしたり、進行すると食欲が低下し、やせてきます。症状に加えて、呼吸機能(肺活量)検査やCT検査などで診断します。治療は、気管支を拡張させる吸入薬・貼付薬・内服薬に加えて、食事やリハビリが有用です。進行すると酸素吸入が必要になる場合もあります。
■気管支喘息(ゼンソク)
気管支に炎症が起こり、発作的に気管支が狭くなり、息苦しさや、咳、ゼーゼーといった症状が出現します。症状に加えて、呼吸機能(肺活量)検査や血液・喀痰検査など利用して診断します。原因は、はっきりとは解明されていませんが、一部にはアレルギー反応が関与しています。治療には、吸入ステロイドや気管支拡張剤、抗アレルギー剤など用います。発作時のみならず、普段から治療を継続することで、予防していくことが大変重要です。喫煙は、喘息や肺気腫を悪化させます。
■心不全
心不全とは、心臓のポンプとしての力が無くなり、血液を全身に十分送り出すことが出来なくなった病態です。高血圧・糖尿病・高脂血症は症状がほとんど無い病気ですがこれらを治療せずに放置していると心不全という形で発症します。症状としては、下肢や顔面のむくみ、体重の増加、などの軽いものから、労作時の息切れ、夜間の呼吸困難まで様々で、時には不整脈を引き起こし突然死をもたらす可能性もあります。高血圧・糖尿病などの生活習慣病の管理が大切になります。
■虚血性心疾患
この難しい名前を聞いたことがない人でも、心筋梗塞はご存知ですね。心筋梗塞は、虚血性心疾患を代表的する病気です。心臓は全身に血液を供給しながら、冠動脈という血管を介して心臓自身にも血液を送っています。高血圧・糖尿病・高脂血症などで動脈硬化が進行すると冠動脈が狭くなります。冠動脈の狭窄により心臓に必要な血液を十分送れなくなった状態が、狭心症で運動中に胸がつかまれるような痛みを感じます。また、冠動脈が閉塞し心臓に血液が供給されなくなった病態が心筋梗塞です。ウエストが大きく(男性85cm、女性90cm以上)、中性脂肪値が高く(150mg/dl以上)、糖尿病かその徴候があると言われている人、血圧の高い人は、虚血性心疾患の予備軍です。すぐに近くのお医者さんに相談して下さい。
■腎臓病
腎臓内科では、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全、糖尿病や膠原病の腎障害などの腎臓病の診断や治療を行っています。腎臓病は放置しておいて進行すると、尿毒症になり人工透析が必要になることもあります。尿検査で蛋白尿や血尿がみられる場合は、早めに、腎臓内科専門医を受診されることをおすすめします。また、当科では、腎臓病の食事や生活についての個別指導に重点をおいて、患者様の病状が進行しないように取り組んでいます。
■糖尿病
今や国民病ともいえるポピュラーな疾患です。膵臓からのインシュリン分泌不足による糖の利用が障害され、慢性的な高血糖状態となり全身の血管を障害していきます。代表的な合併症には網膜症。神経症・腎症などの細小血管障害がありますが、これからの高齢社会に最も影響してゆくのは脳梗塞・心筋梗塞を代表とした大血管障害です。健診を利用した早めの認知と定期的な管理をもってすれば怖い病気ではありません。遺伝素因や生活習慣が発症に影響します。日頃からカロリー摂取過剰・身体活動不足への対処が重要です。
■高脂血症(脂質異常症)
血管の老化を左右する脂質が増加する疾患です。動脈硬化を伸展させるLDLコレステロールや中性脂肪の増加とコレステロールの蓄積を防御してくれるHDLコレステロールの低下を問題とします。しかし、高血圧・糖尿病・高尿酸血症・肥満症・喫煙状態などの基礎疾患の有無にり対応が異なってきます。いずれにしても糖尿病同様、日頃のカロリー摂取過剰・身体滑動不足への対処が重要です。
■肥満症
まさに日頃のカロリー摂取過剰・身体活動不足により表現される脂肪蓄積の典型的な状態です。肥満状態は糖尿病・高脂血症・高尿酸血症をもたらし、血管の老化を進めやすくします。これらの疾患群を遠ざけるためにも自らの肥満状態には常に関心を持ちたいものです。