総合診療科の紹介
最終更新日:2016年7月8日(金曜日) 09時27分
病棟・救急・外来・在宅あらゆるフィールドで活躍する地域医療の担い手
*総合診療医とは
厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告では、内科・外科など従来からある「基本領域専門医」(18領域)に加え、総合診療科が第19番目の専門領域として追加される方針となりました。「総合医(仮称)に関する検討会」では、総合診療専門医像として
○日常的に頻度の高い疾患や障害に対応し、地域によって異なる医療ニーズに
的確に対応できる「地域を診る医師」
○年齢、性別を問わず、日常的に遭遇する頻度の高い疾患や傷害に対して
適切に対応し必要に応じて各科専門医と連携しつつ包括的・継続医療を
全人的に提供できる医師
○地域のニーズを基盤として多職種と連携し、包括的かつ多様な医療サービス
(在宅医療、緩和ケア、高齢者ケアなど)を柔軟に提供できる。地域における
予防医療・健康増進活動などを通して地域全体の健康向上に貢献できる医師
等が挙げられています。
*プライマリ・ケアとは
上記のように総合的に診る医療のことを「プライマリ・ケア」と呼びます。
プライマリ・ケアの専門性を示す言葉として、”ACCCA”の頭文字であらわされる5つの言葉があります。
Accessibility (近接性)
・・・地理的、経済的、時間的、精神的に受診しやすいこと
Comprehensiveness (包括性)
・・・年齢、性別、臓器にとらわれることなく診察し、予防も行う
Coordination (協調性)
・・・チームで医療を行い他科専門医や他施設と連携し住民と協力する
Continuity (継続性)
・・・病気のない健康な時も退院後もかかわる
Accountability (責任性)
・・・医療内容の質の維持 充分な説明
*南砺市民病院総合診療科
南砺市民病院における「総合診療科」の「総合」の意味はなんでしょうか?特定の臓器や疾患に限局せず幅広い疾患を診るだけでなく、患者さんの家族背景、社会背景などを踏まえたケアができること。加えてコミュニティーを見る視点を「総合診療」と考えています。
例えば誤嚥性肺炎で入院された患者さんには肺炎の治療だけでなく、嚥下機能・認知機能・日常生活動作を評価し今後の療養生活に必要な社会資源は何か、どのように利用すればよいのかを多職種と共に考えます。患者さんの生物・心理・社会的な面を理解し退院後の生活へとつないでゆくといった「総合診療」を目指します。
また、院内の専門医と連携した医療を提供することも「総合診療」です。
午後の総合診療新患外来では小児の患者さんも外傷患者さんもまずここを受診していただきます。緊急性を判断して緊急時にはすぐに専門医にコンサルトします。緊急性がない場合は初期治療を行い翌日各専門医を受診していただきます。
*家庭医とは
プライマリ・ケアの領域でも、患者さんを「家族という背景をもった存在」と考え、医療を提供しようとする医師のことです。多くの患者さんが家族と一緒に受診されますが、家族は色々な意味で患者さんの情報源です。また、治療方針や意思決定にも影響を与えます。家族の誰かが病気になれば、精神的打撃だけでなく経済事情や家族内での役割にも変化をもたらします。また、病気の時だけでなく予防の観点からみても、生活習慣やライフスタイルは家族抜きには語れません。家庭医療では、患者さんとだけでなく家族メンバーともよい関係を築きながらケアを提供してゆきます。このようなアプローチは「家族志向型のケア」と呼ばれ「患者中心の医療」「地域包括的ケア」とともに家庭医が提供する専門的アプローチの一つと言われます。
当院はかみいち総合病院、飛騨市民病院、上平診療所と共に「とやまNANTO-RENKEI総合診療医養成プログラム」の連携施設のひとつです。月1回富山大学附属病院総合診療部で、家庭医療勉強会を開催しています。平成25年度には3名、平成26年には1名のの家庭医療専門医が誕生し、平成28年度は先攻医1年目0名、2年目3名、3年目1名と大所帯になりました。ポートフォリオ発表会や合宿などを企画し精力的に活動しています。