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院長挨拶

南砺市民病院は「確かで温かい医療」を目指して、職員一同、日々努力をしています。 今年2月に、看護師特定行為研修指定研修機関に認定されました。県内の指定機関は3つのみです。特定行為とは、診療の補助であり、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能を習得した看護師が手順書により行うものです。これは、今まで医師のみに認められていた医療行為を専門の教育を受けた看護師が特定の医療行為に限って行うことができるもので、このような看護師が活躍できれば、在宅医療から病院の医療まで、提供できる医療が格段に向上するものと考えています。さらに、当院では以前から総合診療医を育成しており、これも県内の病院で唯一継続的に総合診療の専門医を輩出しています。医師と看護師の育成は不可分であり、またお互い協力し合って単独の育成よりも高度な教育が可能になります。その点が当院における医療人育成の最大の強みです。もちろん、人を育てることは大変な労力と情熱が必要ですが、「教えることは学ぶこと」であり、人を育成することにより病院全体が成長していくことが理想的な病院だと考えています。

今年度、ドクターカーを導入します。この具体的な運用についてはこれから準備委員会で十分に検討しながら、搭乗する医師・看護師には県内外の病院で研修を受けてもらい、しっかりとした救急体制を構築できればと考えています。ただ、皆さんからの直接の依頼で出動するわけではなく、救急指令センターからの連絡を受けて、医師が救急車と同時に現場に向かった方がいいと判断される場合に出動する方法で運用する予定にしています。救急医療の基本は、できるだけ早く医師が傷病者に接触することであり、その基本に沿って少しでもより有効な救命医療が行えるように努力していきます。

当院は公立病院であるため、地域医療を守り住民の皆さんの健康を保っていくためには、場合によっては採算性を抜きにして行わなければならない医療があると考えており、以前からその方針を貫いています。その一方、赤字によって南砺市の財政を圧迫しつづけることは許されません。幸い、平成30年度は平成29年度よりも入院患者さんが増加し、今年度も黒字決算になりました。これからも健全な経営を行いながら、必要な医療をしっかりと提供できるように努力してまいります。

診療体制では、今年4月に、循環器内科の医師が加わり、今まで総合診療医と非常勤医師によって診療を行ってきた循環器疾患の診療がさらに充実しました。また、整形外科診療につきましても、平成30年度は常勤医1人体制で皆様に十分な医療が提供できなかったこともあったと思いますが、今年度から、以前と同じように手術できる体制に戻ります。新たな初期研修医2名が研修を開始し、また後期研修医(総合診療)1名が増えました。当院のような地域の小病院で医師が増え続けることは異例ですが、当院の診療・教育体制が着実に充実してきたことを示しているものと考えています。

病院の役割としては、病気になった方々の診断・治療をするだけではなく、病気を予防し健康寿命を延ばすよう活動することも重要です。2年前から、認知症、ロコモティブシンドローム、動脈硬化の早期診断から介入による進展予防の試みを始めました。最近は、腸内環境の改善が糖尿病、がん、アレルギー、うつ病だけでなく、認知症や骨粗鬆症、サルコペニア(筋肉の減少)にも効果があることが明らかになってきましたので、今年度からは、腸内細菌の解析やその改善による健康寿命延伸を目指して活動を進めていく予定です。

この5月から、「医療の質・経営管理室」を立ち上げました。医療の質と経営は病院の機能・役割を考えるときに最も重要な2つの視点であります。さらに、これらはいずれか一方がよければいいというものではなく、両者が相互に関連しているものであると言われています。当院では、今まで医療の質と経営を異なる組織で管理してきましたが、今後はこの管理室でこれらに係るすべての情報を集約しながら、総合的に管理・解析・評価し継続的に改善していこうとするものです。これが、これからの当院の頭脳となって、さらに皆様に信頼され、安心して受診していただける病院になるよう努力していきます。

医療にとって大切なことは、「患者さんの最善を考えること」です。そして、そのための方針を患者さん・ご家族と一緒に考え悩みながら話し合って決定し、決定した方針に沿って医療・ケアを誠実にそして安全に提供していくことです。このような医療が「真に患者さんに優しい理想的な医療」であると考えており、常にそのような医療を提供できるように病院全体で努力していきます。


清水 幸裕