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院長挨拶

南砺市民病院は「安全で確かで温かい医療」を提供することによって地域包括医療・ケアを守ることを目指して、職員一同、日々努力をしています。

当院が大切にしている3本柱は、1. 質が高く安全な医療の提供、2. 臨床倫理の実践、3. 地域包括医療・ケアを支える医療人の育成です。

1.質が高く安全な医療の提供を目的に、2021年12月に国際病院機能評価機構であるJCIの認証を受けました。これは、医療の質(確かな医療)と患者安全(安全な医療)について、国際的に最も厳しい基準を満たした病院であるという証であり、全国の病院で32番目、自治体病院では初で、北陸でも初めての認証です。大変名誉ある認証だと思っていますが、これがゴールではなく、あくまでもスタートにすぎません。現在も継続的な改善活動を行っていますが、医療の質を高めていくためには、皆さんからの厳しいご意見が大切です。今年12月には2度目の審査を受ける予定になっており(3年に1度の更新)、皆で着実に準備を進めています。初回の審査の際には気付かなかったJCIの考え方の本質まで深く理解することが重要だと思っています。

2.さらに、医療安全、医療の質にとって欠けてはならないものに臨床倫理(温かな医療)があります。これは、患者さんの意向を最大限に尊重しながら患者さんの(さらには関係者全員の)最善は何かを考えていくための活動であり、私は医療の本質の一部であると考えています。当院では、2015年から臨床倫理活動を続けてきましたが、その活動が評価され、2023年3月に東京で開催された日本臨床倫理学会第10回大会の大会長を清水が務める機会を得ることができました。北陸の病院の院長が同学会の大会長を務めるのは初めてです。2021年からは、病院内の臨床倫理活動を在宅に拡げる目的で、南砺市医療介護・ケア倫理研究会を立ち上げ、今まで11回開催しています。さらに、2023年9月には、第1回富山県臨床倫理研究会を私が発起人・代表世話人の一人として立ち上げました。臨床倫理に包まれた優しい医療が富山県全体を包まれるように当院が中心的な役割を担っていきたいと思っています。

3.地域医療を支えるにはそのための医療人の育成が重要であり、当院では基幹病院となって総合診療医と特定行為看護師を育成しています。教えることは学ぶこと、人材育成は病院全体が学び成長するためにも重要であると考えています。若い研修医と各種専門医、さらにはコメディカルスタッフとの間に垣根がなく、病院には常に活気があります。

このように地域包括医療・ケアにおける病院のありかたを考えて病院全体で取り組んできたことが評価され、今年11月30日と12月1日の2日間にわたって富山国際会議場で開催される第3回日本地域医療学会の学会長を私が務めることになりました。これからの地域医療にとって大切なものは何かを考えたプログラムを企画しており、将来の南砺市民病院にとっても、また地域医療そのものにとって重要な学会になると考えています。また、そのプレイベントとして10月19日に井波総合文化センターにて介護の現状と今後の展望について皆で考える会を開催します。ご興味のある方は是非ご参加いただければと考えています。

病院の経営の安定化のために、今年から外部コンサルタントと契約して、一緒に経営を考えていける体制になりました。将来を見据えて病院の機能も時代に合わせて変えていかなければならないと思っています。住民の皆様のご意見、ご要望もしっかりとお聞ききしながら皆様が安心して暮らせるように病院として何ができるか、そして何をすべきなのかを考えていきたいと思っています。何卒よろしくお願いいたします。

令和6年4月1日
 南砺市民病院 院長 清水 幸裕


清水 幸裕