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院長挨拶

南砺市民病院は「安全で確かで温かい医療」を提供することによって地域包括医療・ケアを守ることを目指して、職員一同、日々努力をしています。

新型コロナ感染症の勢いが低下してきたことから、政府が感染症法分類の2類から5類に引き下げる判断をしました。また、3月13日から、マスクの着用を個人の判断に委ねることとなり、マスクを着用していない人を見かけることが珍しくなくなってきました。ただ、感染症自体が終息に向かっているとは言い難く、これからも感染症対策をしながら本来の医療を提供できるように整備していく必要があると考えています。

当院が大切にしている3本柱は、1. 質が高く安全な医療の提供、2. 臨床倫理の実践、3. 地域包括医療・ケアを支える医療人の育成です。

1.質が高く安全な医療の提供を目的に、2021年12月に国際病院機能評価機構であるJCIの認証を受けました。これは、医療の質(確かな医療)と患者安全(安全な医療)について、国際的に最も厳しい基準を満たした病院であるという証であり、全国の病院で32番目、自治体病院では初で、北陸でも初めての認証です。大変名誉ある認証だと思っていますが、これがゴールではなく、あくまでもスタートにすぎません。現在も継続的な改善活動を行っていますが、医療の質を高めていくためには、皆さんからの厳しいご意見が大切です。これからも忌憚のないご意見を賜りながら、皆さんに心から信頼される病院づくりに励んでいきます。

2.さらに、医療安全、医療の質にとって欠けてはならないものに臨床倫理(温かな医療)があります。これは、患者さんの意向を最大限に尊重しながら患者さんの(さらには関係者全員の)最善は何かを考えていくための活動であり、私は医療の本質の一部であると考えています。当院では、2015年から院内に臨床倫理委員会と倫理コンサルテーションを立ち上げて活動を続けてきました。その活動が評価され、2023年3月に東京で開催された日本臨床倫理学会第10回大会の大会長を清水が務める機会を得ることができました。北陸の病院の院長が同学会の大会長を務めるのは初めてであり、大変光栄であったとともに、南砺市民病院が北陸の臨床倫理の中心的役割を担う責務があると思っています。2021年からは、病院内の臨床倫理を在宅に拡げ、南砺市医療介護・ケア倫理研究会を立ち上げました。現在まで6回開催し、在宅における倫理問題(在宅の問題の多くに倫理的問題が関わっています)を訪問看護ステーションの看護師、リハスタッフ、ケアマネージャー、施設の職員、地域包括ケアセンター職員の人たちと話し合ってきました。地域包括医療・ケアは、行政的なシステムやサービスの整備は勿論重要ですが、やはり、臨床倫理活動による暖かな医療・ケアの提供がより重要であると思っています。そのために、南砺市全体に臨床倫理の輪を拡げていきたいと考えていますので、今後、皆様のご協力をお願いしたいと考えています。

3.地域医療を支えるにはそのための医療人の育成が重要であり、当院では基幹病院となって総合診療医と特定行為看護師を育成しています。教えることは学ぶこと、人材育成は病院全体が学び成長するためにも重要であると考えています。若い研修医と各種専門医、さらにはコメディカルスタッフとの間に垣根がなく、病院には常に活気があります。

これからも、感染症だけでなく、いろいろと想定を超えた事態によって医療提供体制が脅かされることが起こるかもしれませんが、住民の皆様が安心して暮らせるように病院として何ができるか、そして何をすべきなのかを考え続けながら、必要なことを工夫しながら実施していきます。皆様のご理解とご協力をお願いすることも多いかと存じますが、何卒よろしくお願いいたします。

令和5年4月1日
 南砺市民病院 院長 清水 幸裕


清水 幸裕